「鰍沢」の舞台訪ねて身延線

朝、ひんやりした空気を感じる。気のせいか、起き抜けの夢で、阪神が巨人に勝っていて、ばんざいして、昨日負けた気がしていたがあれは夢で、やっぱり勝っていたのか、それはそうだろうと満足して目覚めたら、それが夢だった。

26日(土)1回しか使わずどんどん期限が狭くなる「青春18」を、どんな無理もきいてくれる散歩堂さんを誘い、2回分使って甲府から身延線「身延」へ。落語好きのわれわれにとって、なんといっても名作「鰍沢」の舞台である。途中、「鰍沢口」という駅あり。落語の中の旅人は甲府からこの鰍沢を経て、日蓮宗総本山の身延山久遠寺」を目指す途中、雪に難儀して山中の一軒家にひと夜の宿泊を頼み込む。

出発駅から4時間かけて身延へ。さすがの観光地で、駅前に飲食、お土産店など立ち並ぶ。食堂で昼飯、バスで山を登り、久遠寺山門へ。天気予報では身延は午後から雨、ということであったが、みごとに晴れ渡っている。と思ったら、立派な山門まで来て、雷と突然の雨。山門下に逃げ込み雨やみを待つ。「『羅生門』みたいですね」と散歩堂さん。少し小ぶりになったところで、杉木立に直立する300段の石段を登り始めるが、ぼくは3分の1まで行かずギブアップ、男坂を下る。散歩堂さんはちゃんと本宮へ。

ほんとうはそこからロープウェイでさらに山頂まで行くのがコースだったが、弱体化したぼくにはとんでもない話。しかし負け惜しみでなく、山門のベンチに腰掛け、ざあざあと杉林を叩く雨の音を聞いているのはいいものだ。それに驚くほど涼しい。駅まで戻り、1時間近く次の電車を待つあいだ、駅前「あっぷる」という喫茶レストランで休憩。ビートルズの写真、リッケンバッカーのベースが飾ってある。そうか、それで「あっぷる」か。帰りの電車、暇なので、散歩堂さんが前に設定してくれたが放置してあったツィッターに何本か投稿してみる。気が向いたら、古本屋、買った古本の写真をアップしていきます。気が向いたら、ということで。